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『潮騒』(しおさい)は、三島由紀夫の10作目の長編小説。三島の代表作の一つである。三重県鳥羽市に属する歌島(現在の神島の古名)を舞台に、若く純朴な恋人同士の漁夫と海女が、いくつもの障害や困難を乗り越え、成就するまでを描いた純愛物語。古代ギリシアの散文作品『ダフニスとクロエ』に着想を得て書かれた作品である〔〔佐伯彰一「解説」(文庫版『潮騒』)(1955年。改版1967年、1985年)200-207頁〕。 1954年(昭和29年)6月10日に書き下ろしで新潮社より刊行された。たちまちベストセラーとなり、第1回(1954年度)新潮社文学賞を受賞した。アメリカでも翻訳出版されベストセラーとなった〔松本徹『三島由紀夫を読み解く(NHKシリーズ NHKカルチャーラジオ・文学の世界)』(NHK出版、2010年)〕。文庫版は新潮文庫で刊行されている。翻訳版は1956年(昭和31年)のメレディス・ウェザビー訳(英題:The Sound of Waves)をはじめ、世界各国で行われている。 == 作品成立・背景 == 三島由紀夫は水産庁に依頼し、「都会の影響を少しも受けてゐず、風光明媚で、経済的にもやや富裕な漁村」を探してもらい、金華山沖の某島と三重県の神島(かみしま)を紹介された。そこで三島は万葉集の歌枕や古典文学の名どころに近い神島を選んだ〔三島由紀夫「神島の思ひ出」(しま6号 1955年4月に掲載)〕。神島を舞台に選んだ理由を三島は、「日本で唯一パチンコ店がない島だったから」と、大蔵省同期の長岡實に語ったという〔長岡實『私の履歴書』(日本経済新聞 2004年4月に掲載)〕。 三島が元にした万葉集に歌われている伊良湖岬には、「潮騒」(万葉仮名では「潮左為」となる)という言葉が出てくる。 この歌は、持統天皇が伊勢神宮参拝と舟遊びを兼ねて伊勢に旅した時に、都(飛鳥浄御原宮)に残った柿本人麻呂が、お供をした人々の中の女官の一人を想って詠んだ一首で、「伊良虞」は、伊良湖岬もしくは神島のことである〔『万葉集』(角川ソフィア文庫、2001年)40-42頁〕。現代訳は以下の意味になる。 1953年(昭和28年)3月と、8月から9月に、三島は鳥羽港から神島を訪れ、八代神社、神島灯台、観的哨、島民の生活、例祭神事、漁港、歴史、漁船員の仕事や生活、台風などについて取材した。神島滞在中、三島は川端康成への手紙の中で、『禁色』のようなデカダン小説とは正反対の健康な書き下ろし小説を書くために調査に来ていると伝えている〔三島由紀夫「川端康成への書簡」(1953年3月10日付)〕。また、プロットについて三島は、ギリシア熱が最高に達し、「ギリシアの小説『ダフニスとクロエ』を底本とした小説の執筆を考へ、(中略)ほとんど原作どほりのプロットを作つた」としている〔三島由紀夫「『潮騒』執筆のころ」(雑誌・潮 1965年7月号に掲載)〕。 三島は『禁色』後の長編物の構想として次のようなメモを残している。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「潮騒 (小説)」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 The Sound of Waves 」があります。 スポンサード リンク
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